岩手県立美術館

　美術館は、ここ盛岡市本宮に開館してから、今年で20年を迎えることになりました。

　開館当初の美術館周辺といえば、活用されていない区画がまだまだ残っていて、「何かのついでに美術館に寄って行こう」という気分には、なかなかならない感じだったように記憶しています。

　今では大型商業施設も増え、以前よりは何かのついでに気軽に美術館に寄っていただける環境が整ってきているのではないでしょうか。

　環境が整ってきているといえば、もう一つ。美術館の近くを流れている下太田川のことです。当時はお世辞にもあまりきれいな川ではなかったように記憶しています。ヘドロが溜まってしまい、ちょっとした匂いもあったので、下太田川周辺の関係者が集まり、年に数回、ヘドロすくい等の清掃活動を行ったことが、今でも思い出として残っています。

　今では、結構きれいな川になったように感じますし、下太田川が流れている盛岡中央公園も、以前に比べれば散歩や運動をしている人が増えてきて、「賑わい」という点でも、環境がいい方向に変化してきているんじゃないかと思います。

　このように、ひと昔前の情景に想いを馳せてみると、いつもの日常ではあまり感じることが無い、様々な変化をあらためて感じることができ、「なかなか感慨深いなぁ」と感じています。

　皆様も、この20年の間に美術館や美術館に関連する事柄についてのいろいろな変化をたまには感じていらっしゃるのではないでしょうか。

　美術館での醍醐味は、来館した時に展示している作品との一期一会に尽きると思っていましたが、来館した時々の思い出を心にとどめ、その変化を感じてみるのも一種の醍醐味と言ってもいいのかもしれませんね。

　これから、美術館が30周年、40周年と時を刻んでいくとともに、皆様も良い思い出をたくさん残し、その変化を感じてみては如何でしょうか。