岩手県立美術館

Vol.104 中の人の話

学芸普及課 常勤契約職員 庄司円

 2022.03

 「中の人」……つまり、作品の作り手についてのお話を読むのが好きです。音楽雑誌の○万字インタビュー、映画パンフレットの解説やコラム、漫画雑誌の巻末作者コメントなどなど……つい熟読してしまいます。美術館ですと、展示室にある作家についての解説パネルや年表などがこれにあたるでしょうか。作品が作られた時代背景や作者の思いを知って、作品をより深く理解……なんていうそれっぽい理由では全くなく、作り手のひととなりや、ちょっとしたこぼれ話なんかが知れたらニヤニヤできて楽しいな、うふふ、くらいの気持ちです(もちろん、「中の人」の情報を一切入れず、作品とだけ向き合う鑑賞体験もまた素晴らしいものです)。
 
 さて、当館にも「美術館の中の人の話」が楽しめるコンテンツがあります。まずは、コラムやレポート満載の美術館ニュース「アプリーレ」。そしていまご覧いただいている、当館職員による連載コラム「From Staff」です。
 当館に親しみを持っていただくことを目的に、ウェブサイトにて2010年5月から不定期連載されているこのコラム。今回で104回目を数えます。内容はお当番の職員に一任されており、担当事業のPRから日々の雑感まで、思い思いの内容が綴られています。まさに「中の人の話」オンパレード。本当に読み応えがあって面白いのです。自称「中の人の話フェチ」のわたくし、当館に勤め始めてから少しずつ少しずつ読み進め、過去103回分すべてに目を通しました(※業務もちゃんとやっています)。そこであることに気が付きました。この「From Staff」自体をご紹介した回は今までない、ということに(単に見落としているだけでしたら誠に申し訳ございません)。From Staffをご紹介するFrom Staff、そんなメタな目線の回があってもいいはずです。内輪ネタじゃん、と言われようと……そこで今回は、完全なる独断と偏見で、お気に入りのFrom Staffをご紹介したいと思います。
 
vol.47 それはどうやって掛かっているのか
額縁はどのような方法で展示室の壁にまっすぐ掛かっているのか?この回を読んでひとつ賢くなりました。
vol.69 盛岡3月
前館長の原田光さんによる、ご在任中最後のFrom Staff。熱いお人柄が感じられる素敵な回です。
Vol.91 逃避行/就職前夜
モラトリアムと旅情!にょっきり生えた鉄塔!胸がキュッとなります。
 
 厳選した3本をご紹介しましたが、なんとこのようなコラムがあと100本ございます。美術館運営の裏側や過去に開催した展覧会の裏話なども記されており、当館に何度か足を運んでくださった方なら、何かしらニヤニヤしていただける回があるのではないかと思います。なお、書かれている内容はすべて執筆当時のもので、中には古い情報もございますのでご注意ください。
 美術館の主役はあくまで作品たちですが、「中の人」の話を通して、少しでも当館に親しみと興味を持っていただけたなら、こんなに嬉しいことはありません。

 
 
 

岩手県立美術館

所在地
〒020-0866
岩手県盛岡市本宮字松幅12-3
電話
019-658-1711
開館時間
9:30〜18:00(入館は17:30まで)
休館日
月曜日(ただし月曜日が祝日、振替休日の場合は開館し、直後の平日に休館)
年末年始(12月29日から1月3日まで)