岩手県立美術館

vol.38 ミーツ・ザ・アーティストのこと

主任専門学芸調査員 坂本 静
2013.08

 月替わりで美術館の職員が文章を寄せているFrom Staffですが、今回は「ミーツ・ザ・アーティスト」に触れてみたいと思います。


 ミーツ・ザ・アーティスト(以下ミーツ)は、岩手県立美術館が、年4回開催しているシリーズの講演会です。毎回、美術のプロフェショナルとして活躍している方を講師としてお招きし、今年で3年目を迎えました。宮大工、装丁家、美術品梱包輸送のプロ、サウンド・アート作家、庭園デザイナー、ファッションデザイナーなど、これまでお出でいただいた講師の方々は多方面にわたります。

 このミーツ、実はちょっとユニークな講演会です。通常の講演会とは異なり、会場で講師がプロフェショナルな技を実演して見せたり、作品や実物を間近で見ることができたりします。講師の仕事の魅力を参加者にどう伝えるか、毎回工夫を凝らすのがミーツを企画する面白さと言えます。

 先日開催際された今年度第1回目のミーツには、岩手を題材にしたユニークなデザインを展開している、マルツ工房デザイナーの吉田つとむさんが登場しました。会場内には、吉田さんが自ら展示した岩手感満載のマルツ工房グッズ。デザインを始めたきっかけや発想の原点、マルツ工房の復興支援など、参加者の質問に答えながら和やかな会になりました。客席との距離の近さもミーツの魅力の一つかもしれません。

 そして、今年度のミーツはあと3回。というわけで宣伝します!
 8月31日は花火師の天野安喜子さん。花火と言えば「かぎや〜」のかけ声が有名ですが、その鍵屋の15代目。江戸時代から続く、日本で一番古い花火業者さんなのです。花火の歴史そして現代の花火の魅力について語ります。会場には何とあの○○が!間近で見られるチャンスです。11月9日は加藤久仁生さん。アカデミー賞短編アニメーション賞「つみきのいえ」のアニメーション作家です。自作の上映を交えながら、アニメーションがどうやって出来上がっていくのかを紐解いていきます。この日はグランド・ギャラリーで、加藤さんの作品を終日ループ上映する予定です。そして12月23日はコロタイプ印刷の山本修さん。展覧会を見たあなたがショップで手にしたその絵ハガキ、それはもしかすると山本さんの印刷したものかも。当日は、世界最古の写真印刷技術を用いた手刷り体験を行います。印刷とゼラチンの関係…この謎が解けます。どうぞご期待下さい。

 どなたを講師としてお招きするか、皆で意見を出し合う悩ましくも楽しいひと時。そして緊張の出演オファー。OKをいただいた時の嬉しさ。開催に向けて一つ一つ準備して、そして講師と参加者とで作り上げるミーツという時間。
 岩手県立美術館で、プロフェッショナルな美術の世界に触れてみませんか?皆さまのお越しをお待ちしています。

岩手県立美術館

所在地
〒020-0866
岩手県盛岡市本宮字松幅12-3
電話
019-658-1711
開館時間
9:30〜18:00(入館は17:30まで)
休館日
月曜日(ただし月曜日が祝日、振替休日の場合は開館し、直後の平日に休館)
年末年始(12月29日から1月3日まで)