岩手県立美術館

Vol.111 みること/つくること

学芸普及課 主任専門学芸調査員 岩渕毅弘

 2023.07

 美術館は美術作品を「みる場所」という認識の方は多いと思います。当然のことかもしれません。ただ同時に、美術館は何かを「つくる場所」でもあるというお話です。
 岩手県立美術館には「スタジオ」という場所があるのをご存知でしょうか?
 総合受付の右奥、野外展示スペースに向かうホワイエを進み、ホールの手前で右折した廊下の一番奥にスタジオがあります。
 広さは約10m×約6m。床はフローリングで、部屋の奥は全面ガラス張りとなっており、ボタン一つでスクリーンが昇降し、自然光を調整できます。
 水道の蛇口は6本と充実しています。スタジオの棚や隣の倉庫、準備室には様々な道具や材料がぎっしりと収納されています。
 広くて安定感のある木製の作業机は組み立て式で、イベントによっては、倉庫に収納し、床面を広く使うこともできます。
 一般的な中学校や高校の美術室のような場所ですが、創作のための設備はかなり充実していると思います。

 このスタジオでは、様々なイベントが行われています。
・アートデオヤコ:未就学児と保護者を対象としたワークショップ
・オープンスタジオ:どなたでも参加できるワークショップ
・展示に関連したワークショップ:作品への理解を深めるための展示に関連した造形体験
・造形体験:特別支援学校・特別支援学級の生徒を対象としたワークショップ
・技法・材料体験ワークショップ:高校生以上一般を対象とした実技体験講座
その他、様々な創作の機会を用意しています。

「アートデオヤコ」の様子

「アートデオヤコ」の様子

R5「技法・材料体験ワークショップ(油彩画基礎)」

R5「技法・材料体験ワークショップ(油彩画基礎)」

 各イベントの開催趣旨は異なりますし、参加される方々の動機も様々だと思いますが、どのイベントも、単に造形技術の習練のために行なっているというわけではありません。
 つくる体験は技術以外のたくさんのものをもたらしてくれます。
 例えば、何かの素材に触れることで、普段はあまり意識しない感覚が覚醒したり、何かを感じたり考えたりすることによって、世界の見方が新しくなったりすることがあるかもしれません。
 また、つくる体験によって、作品を鑑賞するときに、その制作過程を追体験するような見方や、技法や材料に着目する視点が加わったりするかもしれません。つくること・みることはお互いに補完し合う関係にあると思います。
 つくる体験は、みることへの興味をより高め、日常の生活もより楽しく豊かにしてくれる可能性があるということだと思います。
 ぜひ「つくる場所」としても美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

岩手県立美術館

所在地
〒020-0866
岩手県盛岡市本宮字松幅12-3
電話
019-658-1711
開館時間
9:30〜18:00(入館は17:30まで)
休館日
月曜日(ただし月曜日が祝日、振替休日の場合は開館し、直後の平日に休館)
年末年始(12月29日から1月3日まで)